《フォトレター555》

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走馬灯のように/33


山本周五郎の『虚空遍歴』は江戸で端唄の名人と評判がたった
若き中藤冲也がそういう評判に包まれて浮名が立つほどだったにも
関わらず、それに満足できずに自分を嫌悪し、あえて本格的な
浄瑠璃を作ろうとして苦悶する遍歴が克明に描かれている物語である。

さすがに才能のある冲也による浄瑠璃は第1作が
すぐに中村座にかかって好評を博するのだが、果たして冲也は
これにも満足できずにしだいに行き詰まっていく。
周囲では「あれは金の力だ」といった噂がたてられ、
冲也はそれに潔癖に対峙してしまったからだった。
師匠の常磐津文字太夫からも離れてしまう。

こうして冲也はあてどもない浄瑠璃遍歴に旅立っていく。
物語は江戸から東海道を上り、京都へ、近江へ、更に金沢へと変転する。
その変転に冲也に惚れるおけいがかかわって、独白の挿入が入ってくる。
長い独り言である。おけいはもともとは色街育ちなのであるが、
冲也の芸を聞き、毛虫が蝶になったような身震いをうけた女である。
そのおけいが筋書の進展とは別に淡々と胸の内をあかしていく。
そうなると、そのおけいの独白が次にどうなるか、
読者は居ても立ってもいられぬ気持ちになってくる。

山本周五郎はこの作品を書くために40年を費やしたという。
最初は『青べか物語』の一節に入れる予定だった。
それがやがて「私のフォスター伝」というメモに変わっていき、
更にフォスターが時と所を越えて江戸の端唄師にワープした。
こういうことができるのが周五郎の文学なのである。


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この空を見た時、心が洗われる気がした。

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誰かが、何かがこんなところに集めたんかな。

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「先生3つ…」まで解読できたが、その後が判らない。

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公園に小さなボールが落ちていた。

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なんかいい感じだ。
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by tomhana0907 | 2014-04-07 05:12
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